BRM ビタミンC の開発
イムノヘルスの開発担当の冨田と申します。
本業は薬屋です。それじゃ、「こっちは副業か」と言われそうそうですが、実のところどちらが本業で、どちらが副業か自分でもよく分からないところがあります。開発や研究も大事ですが、店頭での接客も薬やサプリメントの情報も商品開発には重要な要素だと思っていますから、私にとっては、どちらも関連した本業だと思っています。
ビタミンC 製剤は店頭でもたくさんありますが、POS データを見るとお買上の頻度は様々でした。そこには毎日ビタミンC を継続して使用されている方は皆無だとデータは如実に示していました。その頃は私自身もたまに呑むくらいでしたから、それが普通だと思っていました。
その当時の担当だったシオノギ製薬のMR さんは「ビタミンC が継続できないのは味があるからです」と言い切るのです。シオノギのビタミンC 製剤は医療では顆粒と錠剤しかありませんが、一般用(OTC)ではカプセルがありました。その当時のカプセルはゼラチンカプセルでしたが、後にセルロースカプセルに変わりましたが、それよりも凄いのがビタミンC の粒子を乳糖でコーティングしていることでした。
さらさらの粒子ひとつひとつがコーティングされているなんて信じられない技術です。
なぜ、そんな面倒なことをするかと言えば、カプセルが胃で溶けたときにビタミンC が直接胃粘膜を刺激しないためだと教えられました。その為、空腹時に呑んでも数回なら胃が変に感じることはありません。
しかし、極度に胃弱の方は食後でも「ムカムカする」方が居られたのも事実です。
ただ、そんなに極度な胃弱の方は希なので大方の方は問題なく続けることができます。それから日に2000mg(朝・夕に1000mg = 2 個)ずつ続けてみたところ1 ヶ月で変化が現れました。
私は僅かなハウスダストでもおきる慢性のアレルギー性鼻炎で、鼻水が出だしたら止まらないのです。それもほぼ毎日です。それがピタッと止まったのです。
それを花粉症の時期にお客様に話すと試してみたいという方が続出して、杉の木の下に行くと呼吸もし難くなる方が「少し目が痒い程度」と言われますし、「全く症状が出ない」と言う方まで様々でしたが、大方の方は満足されていました。
ところが2013 年にシナールカプセルが終売となってしまいした。
「これが無いと私はどうなるんだろうか」
他のビタミンC 製剤も試してみたことがありますが、錠剤もカプレットも顆粒も1 ヶ月経たないうちに呑めなくなるのは体験していただけに不安は募ります。
「どこにも無ければ作るしかない」が心情なので開発に着手することになりました。
乳糖ではありませんが、コーティングしてあるビタミンC の原料が有ることが分かり、それをカプセルに入れる充填試験をしましたが、粒子が大きく1 カプセルに500mg が入りません。
どんなに頑張っても400mg を切る量の充填しかできませんでした。しかも、そのコーティングは耐酸コーティングではないので胃弱の人には無理かもしれません。そうこうしている時にカプスゲルからHPMC(植物性カプセル)でカプセル自体を耐酸加工したものが発売されると聞き、発売と同時にフランスから取り寄せて充填試験をしましたが、500mg の壁は高かったのです。そこで、滑沢剤を僅かに入れて手作業で実験した結果、極微粒のビタミンC 結晶なら僅かな滑沢剤でも充填が可能だと判断して、それを工場に依頼しました。試験充填は僅かな量しか作りませんが、一度機械を汚すと清掃で暫く時間が掛かるので費用は1 回5 万円かかります。
無駄な実験で開発費を掛けた分、箱の型代を規格品にしたりして売価を上げないよう努力しましたが、容器は安い褐色便ではなく、値が張っても軽いポリ容器にしたり、充填精度はプラスマイナス1 %程度と厳しい基準で作ってもらいました。
医薬品のカプセル剤はプラスマイナス10 %以内が基準ですから、どれだけ厳しい基準で作って戴いているか想像できると思います。
シナールカプセルには着色を兼ねてビタミンB2 が入っていましたが、「兄ちゃん、あれは駄目だよパンツが黄色くなって・・」と言われる年配の男性のために外しました。余計なものを入れず、白いカプセルのままBRM ビタミンC ができた理由です。
昔からシナールカプセルを呑んでいた娘が「これだと胃が楽だ」と言います。鈍感だったのは私だけだったのだろうか?
たぶん、シナールにも不満が有ったか気づかないお客様も居られたんだろうと思います。
「これだったら大丈夫ですよ!」と大きな声で叫びたい気持ちでいっぱいです。
※カプスゲルは世界最大の製薬企業で或ファイザー社のグループ会社です。日本法人もありますが、この耐酸性の「DR カプセル」は2015 念時点でフランス工場でしか生産されていません。2015 年時点で日本でこのカプセルを使用しているのは当社を含め4 社しかないそうです。その理由は「高いので使い切れない」と製造元の芳香園製薬の規格の方が言ってました。
BRM ビタミンC はビタミンC オタクの私が店頭でお客様の意見を踏まえて開発した製品ですので、どなたにもご満足戴けると信じております。