ビタミンCの必要量

ビタミンC の必要量

ビタミンC はどれくらい摂ったらよいのでしょうか?
こういう疑問は普段の生活であまり出てこないのですが、肌が荒れてきた、シミが増えてきた、風邪を引きやすい等の体の変化があった時には考えてしまうものです。

六次改訂日本人の栄養所要量

第6次改訂日本人の栄養所要量では18才以上で日に100mg(妊婦は+10mg、授乳婦は+40mg)で良いことになっています。
栄養所要量には「許容上限摂取」の項目がありますが、ビタミンCの欄ではそれがありません。
という事は、これぐらいは最低限に摂取が必要な最低摂取量が日に100mgと考えるのが妥当です。
ところが、平成6 年に発表された第5次改訂の日本人の栄養所要量では成人が50 mg になっていました。
最近になってから必要量が増えたのでしょうか?


新ビタミンC と健康

※図は村田晃著新ビタミンC と健康から引用しました。
図を見るからには通常月はやっと50mg、第5次改訂がギリギリクリアできる量です。しかし、みかんをよく食べる12 月だけが第6次改訂の必要量に近くなっていることが分かると思います。

栄養所要量を改訂しても食生活を大幅に改善しない限りは所要量が満たされることはあ
りません。アメリカ国立衛生研究所によれば、米国の摂取推奨量もほぼ同じですが、喫
煙者や偏食等の特定集団を除けば米国人の多くは充分に食品からビタミンC が摂取出来
ているとあります。やはり食生活の差は大きいと思われます。


しかし、その差で日本人が風邪を引きやすいとか癌になりやすいと言うデータは今のところありません。
栄養所要量が急に倍になるほど、ビタミンC のことも体の働きも実は分からないことだらけなのです。しかし、ビタミンCの研究は少しずつですが進んできています。なぜ少しずつかと言いますと、ビタミンCを研究する研究者が少ないこと、それと製薬会社が研究しても既に存在するものですから特許は取れませんので研究費の無駄遣いになってしまうからです。


そして、ここからが重要なのですが、仮にビタミンCを1,000mg以上摂ると老化が遅くなるとか癌になりにくいとかがはっきり分かったとしても、現実には日に50mg、みかんの採れる時期だけ100mg近くしか摂取できていない平均的な日本人は食事の工夫をどんなにしても不可能なことに戸惑ってしまいます。厚労省が国民に「ビタミンCサプリを実費で買って呑みましょう」とは口が裂けても言えないことですから尚更です。
そこで、100mg/日は食事から摂取する努力目標と考えるのが妥当だと思います。

みかん


ビタミンCを体内で合成出来ない哺乳類はヒトとサルとモルモットです。
野生のサルは雑食ですから、個体差も大きいでしょうし、果物が採れる時期など季節変動が大きいので調査は難しいですが、モルモットは飼育されているので簡単に分かります。それはモルモットの餌に記されているからです。
モルモットの標準体重は約500gですので、100倍すると50kgになります。
ヒトの50kgと云えば男性では少なすぎますが、女性なら20才以上の標準体重よりは少し少ない体重です。
モルモットは日に30gの餌を食べますが、その中にビタミンCが45mg添加されています。単純に100倍すると4500mg=4.5g更にストレスや体調が悪いときには50mgのビタミンCを加えますから、9500mgの摂取になるのです。

モルモット
仮に体重50kgの巨大モルモットが居たとしたら、ヒトの食事以外にC1000○○のドリンクを日に9.5本も飲んでいるのと同じです。
そこで、疑問が生じます。「私達はモルモット以下の食生活で大丈夫なんでしょうか?」
「反省だけならサルでもできる」と云うキャッチコピーがありましたが、体重60kg換算のゴリラでも日に2200mg摂取しているそうですので、サル以下、モルモット以下の人は反省すべきなんでしょうか。
一般的な食事を摂っているヒトの体内で貯蔵できるビタミンC は1500mg なのですが、日に1000mg ~ 2000mg をサプリメント等で経口摂取しているヒトでは次第に貯蔵量が増え最大4500mg ぐらいは貯蔵できるようになるそうです。

本来のビタミンC の働きが出てくるのは、この充満状態になった時です。
一般的な方では日に2000mg を摂っていて1 ヶ月くらいで充満できます。喫煙者やストレスが多い方、肉体労働の方はもう少し時間が掛かります。
ビタミンC を一度にたくさん摂ることよりも2000mg を毎日続けることが大事だと思います。

但し、腎機能が悪い方や尿管結石が有る方や人工透析をされている方は必ず医師にご相談下さい。